EBC報告書2025年度版 – EBCからのメッセージ

EBC報告書2025年度版 – EBCからのメッセージ

EBCからのメッセージ

 

欧州ビジネス協会(EBC)の2025年版報告書をお届けいたします。今年のタイトル「変動する世界でのパートナーシップの強化」は、ますます複雑化するグローバルな文脈の中で、日欧間の経済・政策協力を深化させることの重要性が高まっていることを反映しています。

EUと日本のパートナーシップは、グリーン・アライアンス、連結性パートナーシップ、デジタル・パートナーシップ、EU-日本経済連携協定(EPA)の継続的な発展などの戦略的枠組みを通じ、引き続き強化されています。これらの取り組みは、主要な分野にわたる貿易、投資、規制の整合性に向けた道筋を築くものです。

しかし、地政学的状況は新しい課題を提示します。ウクライナでの戦争、東アジアでの緊張、伝統的な同盟の再評価は、世界の秩序を再形成しています。このような環境下では、欧州と日本は、特に防衛などセンシティブな分野において、産業連携が相互に利益をもたらし、ともに必要である場合には、より際立ったリーダーとしての役割を果たさなければなりません。

心強いことに、勢いは増しています。各国政府は二国間協力を後押ししており、新たな協定が署名されつつあります。EBCは、防衛および宇宙技術における共同イニシアティブに大きな機会を見出しており、欧州当局(特に防衛産業・宇宙を所管する欧州委員会の総局〈DG DEFIS〉)と、日本側の関係機関(特に防衛装備庁〈ATLA〉および経済産業省〈METI〉)との間での対話の強化を推奨します。

EBCは、基準の整合化を支持し続けています。これは電化製品、医療機器、食品、鉄道にも当てはまります。これらはすべて、様々なレベルの調和のあるセクターです。

本報告書に掲載されたいくつかの規制の進展は、着実な進展を示しています。法律サービスでは、外国弁護士の再登録手続きが簡素化され、専門家の要件が緩和されました。税制では、新たな適格請求書制度のもとで、とりわけ低額の費用について、行政負担を軽減することが奨励されています。食品分野では、有機産品の相互認知に向けた動きが見られますが、添加物や食品の器具・容器包装材には課題が残されています。酒類のロットコード保護の改善が期待されていることが、大きな前向きな進展です。何年にもわたるEBCの活動の後、私たちは間もなく、世界的なベストプラクティスに合致する重要な規制の変更を目の当たりにするかもしれません。一方、体外診断薬(IVD)の評価に費用対効果を含めることは、価値ベースの医療への大きなシフトを示しています。

環境の持続可能性もまた勢いを増している分野です。環境製品宣言(EPDs)の使用が増えていることから、不必要な複雑さを避けるために調和化された基準が求められています。運輸部門では、物流部門と自動車部門の両方で進展が見られていますが、国際的な基準とのさらなる整合が必要です。航空輸送では、日本の持続可能な航空燃料(SAF)は、よりグリーンな旅行への移行を指示していますが、供給準備に関する疑問が残っています。産業移行を支援するための明確なロードマップが必要です。

EBCの活動は、在日欧州商工会議所、法人会員、JAIA (日本自動車輸入組合)、EFPIA(欧州製薬団体連合会)、IBA (国際銀行協会)などの主要関係団体の継続的な支援を通じて可能となっています。また、駐日欧州連合代表部及び在日欧州大使館の協力と関与に感謝します。

いつもながら、ご寄稿いただいた方々に心より感謝申し上げます。EBCは、欧州企業と日本企業がともに成長し、イノベーションを起こせるような、透明性が高く、予測可能で、ビジネ スフレンドリーな環境を促進することに引き続き尽力してまいります。

私たちは、この前進を土台とし、繁栄の共有、強靭性、より深い協力によって定義される未来に向けて努力することを期待しております。

ローラン・デュプス
会頭
欧州ビジネス協会
在日欧州(連合)商工会議所

ヴァレリー・モスケッティ
事務局長
欧州ビジネス協会
在日欧州(連合)商工会議所