国家検定プロセスの更なる改善と規制要件の国際調和

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ワクチン
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本邦における国家検定プロセスについては、産学官での長年の議論の結果、少しずつ改善の途にある。生物学製剤基準の医薬品各条制定の見直しを行い、製剤間の試験方法の整合性を図りながら、記載内容の簡略化を検討し、2023年には異常毒性否定試験の医薬品各条から削除され、また、医薬品条項の試験方法の記載方法の整合性を図るための検討が行われ、各社変更対応を行っている。今後も動物を用いた試験からIn vitro試験への試験方法の検討等、産学官で協議を行いながら検討を進めているところである。 また、国家検定の在り方として、一定の基準を満たした製剤については、SLPのみで審査できる方針も示され、基準に従いSLPのみの審査を受け入れられた品目も数品目選定された。 一方で、多くのワクチンでは、国家検定で試験の実施が求められており、いまだに二重の負担が解決されたとは言い難い。輸入品については、海外の国家検定を受けたうえで輸出されているが、輸入後にも日本の国家検定制度により、日本特有の生物学的製剤基準に従い、再度日本での試験実施を求められる場合が多い。 国家検定のための検定サンプル提出には、感染症研究所、厚生労働省、都道府県職員が関与し、その調整業務が企業の負担となっている。特に、SLPを利用した書面のみの検定を行う場合でも、都道府県職員の立ち合いのもとワクチンサンプル1本の抜取りを行わなければならない。これは薬機法に定められているための対応とされているが、非効率的な制度であり、見直す必要があると考える。例えば、海外製造所で予め、無作為に抜取を行い、直接国立感染症研究所に送付することができれば、輸入ワクチン供給のリードタイムが多少短縮するものと考える。 検体サンプルの直接提供に向けた効率化やSLPのみの国家検定の在り方については引き続き協議が必要である。 一方で、感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合が決定し、国家検定の実施機関や新たな運用変更の必要性があり、これらの事項も含めて議論していく必要がある。また、承認前検査のあり方についても本当に承認のための要件とするのか、又は国家検定準備のための技術移管のみを行うのであれば、承認前検査を廃止し、新たな枠組みを構築してもらえるよう議論していく必要がある。 EFPIA Japanとしては、今後も少なくとも欧米の国家検定で合格した製品については、SLPのみの審査とすること、サンプル提出の効率化等、国家検定の効率化を要望していきたい。 また、生物由来原料基準についても見直しを提案しており、AMED研究班等で議論を行っているところであるが、欧州などで古くから幅広く使用されているワクチンがスターセルバンク/マスターシードに含まれる生物由来原料に関する情報が生物由来原料基準を満たさないため日本での導入が非常に困難となっている点も今後の課題として検討していく必要がある。

提案

  • 承認審査期間である医薬品医療機器総合機構及び厚生労働省並びに検定実施機関である都道府県及び国立感染症研究所との連携強化又は医薬品審査機能及び検定機能の効率化
  • 海外製造所においても検定サンプルの抜取が可能となるようなサンプル抜き取り方法の見直し
  • SLPの活用による検定ロット数の削減や新規承認品も含めたSLP審査のみの品目の拡大