原子力および原子力安全
委員会:
エネルギー進捗:
若干の進展
現在、わが国の電力構成の約8%を占める第6次エネルギー基本計画では、2030年までに原子力の割合を20~22%とすることを目標としている。これを達成するには、25~28基の原子炉の再稼働が必要となる。日本の33基の運転可能な原子炉のうち、14基が再稼働している。2024年には、東北電力の女川2号機(825MW)及び中国電力の島根2号機(820MW)が、2011年以来初めて再稼働した沸騰水型軽水炉(BWR)となり、注目すべきマイルストーンとなった。今後は、2025年の柏崎刈羽7号機をはじめ、BWRの再稼働が見込まれている。既存の原子炉の寿命延長を認めるという最近の決定は好ましいものであるが、2030年の目標を達成できるかについては依然として不確実性が残っている。
日本は、既設炉の再稼働に加えて、将来のエネルギー需要に対応するための次世代原子炉技術への投資も行っている。三菱重工は、関西電力、北海道電力、四国電力及び九州電力と連携して、2030年代半ばまでに完成予定の120万キロワットの新型軽水炉「SRZ-1200」の開発に取り組んでいる。これは、日本のより広範な戦略的方向性に合致しており、近々策定される第7次エネルギー基本計画では、エネルギーミックス及び気候目標の中核的要素として原子力発電に引き続き取り組むという日本の姿勢を反映し、同様の原子力目標が維持されることが期待される。電力会社は、現行の規制では、新たな原子力発電容量を開発するにあたっては、廃炉となった既存の原子炉を解体する必要がある。
また、原子力サイクル全体、特に燃料サイクルは、今後数十年にわたって大きな課題となることが関係者によって認識されている。多くの公益事業者が、使用済み燃料の貯蔵能力の限界に直面していること、また、地政学的状況がエネルギーの主権を求める動きにつながっていることがその理由である。
また、日本の原子力発電所の再稼働は、世界的な影響をもたらし、液化天然ガス(LNG)を世界市場に解放することによって、欧州の冬季のエネルギー不安を緩和する可能性もある。電力コストの上昇は、家庭向けが20%増、企業向けが30%増となっており、政府は、電力会社、家庭、企業向けの補助金や現金救済策を検討せざるを得ない状況となっている。特筆すべきは、原子力発電所を再稼働させた関西電力、九州電力、四国電力などの日本の電力会社は、原子力発電所の再稼働により、2023年に利益を計上した。これにより、原子力発電所の再稼働がコストの安定化に繋がることが浮き彫りになった。
しかし、急激な円安が輸入コストを押し上げ続けており、昨年中には石炭価格が3倍、天然ガスが2倍に上昇した。
提案
- 国際協力の強化: 日本は、原子力安全文化の向上と共に、事業者と安全規制当局間の建設的な対話を促進するために、国際機関との連携を引き続き強化すべきである。
- 原子炉再稼働の加速: 2030年の脱炭素化目標を達成するために、停止中の原子炉の再稼働への取り組みを強化すべきである。
- クローズド燃料サイクルの推進: クローズド燃料サイクルの実施は、廃棄物の削減とエネルギー自給率の向上に繋がる。六ヶ所再処理工場の稼働は、使用済燃料のリサイクル、輸入資源への依存度の低減、長期的な燃料の持続可能性の向上を可能にするため、この取り組みにとって極めて重要である。
- 原子炉の建替え計画: 政府は、エネルギーミックスを維持するために老朽化した原子炉を建替えるための長期的な戦略を優先し、現行および将来の原子炉を管理するための十分な労働力を確保すべきである。
- 発電所の容量拡大: 老朽化した原子炉の解体及び廃止措置を推進することで、将来のプロジェクトのためのスペースを確保できる。日本は、このプロセスを促進するために欧州で培われた専門知識を活用できると考える。