小売・卸売

日本の小売市場は依然、世界で最も大規模かつ最も活発な市場の1つである。欧州の小売業者のプレゼンスがおおかた高級品分野に限られていた長年の期間を経て、ここ10年は、ファストファッションとホームインテリアの両分野で欧州の新しい小売業者が急速に地位を確立してきた。そうした小売業者の成功は、日本の消費者により幅広い選択肢や、往々にして買い得な価格を提供し、また多くの場合、これまで手に入らなかったまったく新しい商品の提供を通じて明らかに恩恵をもたらしている。それは、相当の雇用を創出するとともに、従来悲惨な状況にあった都市の再活性化を助けることによって、日本経済全体にも利益をもたらす。欧州の競争相手の進出により、グローバルな競争力をさらに強化するインセンティブがもたらされるため、日本の小売業者や卸売業者自体にプラスになる。

EU-日本EPAの実施に伴い、欧州の製品やサービスにとっての市場アクセスは改善した。関税は引き下げられた。ほとんどの場合、関税はEPA発効初日にすでにゼロに下がった。EBCは、EU-日本間の基準や規制の一層の整合化も期待している。整合化が困難な場合、または実現に時間を要する場合には、基準、認可、試験結果の相互承認を通じて状況を改善すべきである。EUと日本は共に、消費者保護を実現するためのしっかりとした制度を有しているため、消費者保護が縮小することはないことをEBCは指摘しておきたい。我々は、EUと日本がこの点で緊密に協力し、EPAにおける規制協力メカニズムを活用することを希望する。

欧州の卸売業者と小売業者は、日本市場において依然、グローバル規模のロジスティックスを活用することを困難にする相当の障壁に直面している。これはコスト増大をもたらし、したがって日本の消費者にとっては価格上昇をもたらす。政府は、欧州の基準をすでに満たしている製品に独自の国内規則・規制を適用することを依然として求めている。EN(欧州規格)およびISO 規格またはCE(conformité européenne)マークの受け入れに日本が難色を示すことは、新製品の市場導入を遅らせるとともに、輸入コストを増加させる。EBC は、消費者保護に関する政府の懸念を共有してはいるものの、欧州の規則はこの同じ懸念に十分以上に対処しており、安全かつ良質な製品を保証していると確信している。したがって、規則と規制の相互承認は意味があり、すべての市場参加者にとって公平な競争条件を生み出すだろう。欧州の小売業者や卸売業者が直面している障壁のほんの一例は、消費者庁が定める日本特有の品質表示規程である。その他には、SI 単位系(国際単位系)以外の非許容、食品衛生法の器具・容器包装の輸入申請手続き、国際基準と欧州の認可の不承認などがある。さらに消費者製品の輸入・認証・表示の整合化されていない手続は、不要に高コストかつ複雑である。

日本の電気用品安全法、通称電安法もまた、小売業者と卸売業者にとって不要なコストと複雑さをもたらしている。経産省は、この法律の対象となる電気用品名をリストに挙げている。しかし、特定の製品がどの電気用品に該当するか、または対象外かの判断は容易ではなく、適用すべき試験規格の特定に不確かさを招いている。加えて、この分野では真の整合化が欠如しており、IEC(国際電気標準会議)規格と同等の日本の規格が採用される場合でも、必ずしも最新更新版のIEC規格に準拠していない。

最後にEBCは、セーフハーバーのない垂直的制限規制の見かけの緩和以後の日本の独占禁止法や、小売業者と卸売業者に対する、明確な判断基準を伴わない下請法の施行についても懸念している。結果、この法律の適用は一層予測不可能で不透明になっており、そのため、法令順守が一層困難となっている。こうした状況につけこんで市場が操作される切実なリスクがあるため、EBCは公正取引委員会(公取委)に対し、法令順守を行いやすくする明確なガイダンス文書を可及的速やかに出すよう要望する。

主要な問題および提案

委員長

c/o Mr. Bjorn Kongstad
Chief Policy Director, European Business Council in Japan (EBC)
Toranomon Hills Business Tower 15F
1-17-1 Toranomon
Minato-ku, Tokyo 105-6415
Tel: +81-3-6807-5933

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

日付時間場所
2025年