酒類

欧州は酒類、ワインの世界有数の輸出を誇る。日本の酒類市場は世界最大級の市場の1つであり、年間売上高は推定3.5兆円にのぼり、いくつかのカテゴリーで消費が拡大している。ただし、2020年の外国産酒類輸入額は2,560億円(税関調べ)で、ビール類、ビール類を含む日本の酒類市場全体の9%を占めるに過ぎない。

日本では、食品に対する製造ロット番号(生産履歴管理情報)の使用は、厚生労働省の行政通達で推奨されているものの、食品衛生法では義務づけられていない。対照的に、EUは、製造ロット番号が効果的で効率的な商品リコール回収プロセスに重要な役割を果たすことから、すべての食品・飲料商品に製造ロット番号を表示することを義務づけている。EU産酒類の輸入業者の多くは、商品を日本で販売・流通する際に製造ロット番号の適切な表示に留意しているにもかかわらず、消費者の安全よりも事業利益を優先する機を見るに敏な業者の中には、製造ロット番号が消去、改ざん、または隠ぺいされた商品を輸入する慣行が見られる。EBCは2010年から政府に対し、日本の消費者の安全を守るべく、積極的な対策を講じるよう要望している。EBCは、2014年9月に国税庁によって出された通達、および、2017年4月に新しい酒類販売管理研修テキスト/DVDにロット番号削除品の内容を盛り込んだことを評価する。さらにEBCは、経産省、厚労省、農水省が2017年7月に、製造ロット番号が消去された商品が市場に出回っていることに関する懸念を表明する通達を出したことを認識している。EBCは政府に対し、生産履歴管理のための製造ロット番号の表示を確保する積極的な対策をさらに講じるよう要望する。日本洋酒輸入協会は、2018年6月23日に、銘柄ブランドの不可欠な要素として、ロット番号の品質保証の役割について、法律専門家の意見書を含む要望書を国税庁に提出した。EBCは、国税庁が酒類業組合法第86条に基づく国税庁告示を制定し、オリジナル製造ロット番号が削除等された輸入酒類の流通の根絶に向けて法的規制を導入すべきであるという日本洋酒輸入協会の要望を支持する。

ワインの定義はヨーロッパの定義よりはるかに緩い。2015年には「日本ワイン」の定義が改正され、より厳しくなったが、「ワイン」はまだ不明瞭で、日本は生産工程の「ワイン」の定義を厳しくする必要がある。日本ウイスキーの定義は2021年2月に確認された。

EBCは、日EU-EPAの円滑な実施を歓迎する。ワインの重要な添加物はEPA交渉で日本とEU双方で承認済みであり(日本25品目、EU28品目)、EUで承認された添加物を用いたワインを日本は輸入できるようになった。28品目中23品目が厚生労働省及び国税庁の承認を受けており、最終5品目については2021年9月現在、承認手続中である。厚労省および国税庁は、ほかの先進諸国で一般的に認証される添加物を速やかに認可すべきである。

また、日EU-EPAの発効により、ワイン、スパークリングワインの関税が全面的に撤廃された。2020年1月1日に日米貿易協定が発効し、スティルワインは15%または125円/リットルのいずれか低い方、スパークリングワインは182円/リットルの関税が段階的に撤廃されることになった。EBCは日本に対し、期待通り、ワインに対する関税を撤廃するよう要望する。

EBCが注目したいEPAのもう1つの側面は、地理的表示(GI)の合意された相互保護がEU産の139品目の酒類商品についてのGI保護を保証することである。

3段階(2020年、2023年、2026年)にわたってビールに対する税を引き下げるとともに発泡酒と「新ジャンル」飲料に対する税を引き上げて、これらすべての飲料に関する税率を最終的に一律リットル当たり157円にする新しい酒税政策が策定された。ワインに対する税は、2段階(2020年と2023年)で引き上げられ、結局、日本酒に対する引き下げられた税率と同じになる。蒸留酒に対する税は来るべき税率引き上げの対象とはならないものの、ABV(アルコール含有量)が37%未満の商品の場合、税率はリットル当たり370円と相当高く、さらに、ABVが1%増えるごとにリットル当たり10円が加算される。EBCは、ワインに対する税の引き上げに反対するとともに、蒸留酒に対する税を引き下げるよう日本に要望する。

主要な問題および提案

 

 

委員長

Mr. Bruno Yvon
President, MHD Moet Hennessy Diageo K.K.
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1-105 Jinbocho
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Fax: +81-3-5217-9751

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

2024年
日付時間場所
3月1日(金)08:30~hybrid
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12月4日(水)08:30~hybrid