自動車

2022年の国内自動車市場を振り帰ると、半導体不足やそのほか部品供給の遅れが影響し、国内新車販売台数(登録車および軽自動車)は420万1320台(前年比 5.6%減)、登録車全体の販売台数も減少し、約256万台となった。

2022年の欧州車を主とする外国ブランド4輪車の販売台数は、1月から9月まで厳しい状況が続き、10月以降は回復の兆しを見せたものの、2022年の販売台数の合計は前年比6.7%減の242,226台となった。ただし、登録車全体に占める外国メーカー車のシェアは9.5%と1988年の統計開始以来最高となった。また、輸入EVの販売台数は14,341台となり、初めて1万台を超え、2021年の輸入EVの販売に比較して、66.6%増となり、日本で販売された乗用EVの45.3%を輸入車が占める結果となった。

2023年上半期の国内自動車販売市場については、登録台数は約156万台と前年を上回るペースで回復傾向であり、外国ブランド車の販売台数も、前年と比べて5.4%増の122,667台となった。輸入EVについては引き続き好調で、9,239台となり、前年同期と比べて77.9%増となった。要望していた継続的で切れ目ない電動車への補助金政策も大きく寄与しており、改めて感謝の意をここに表したい。このような激変する市場環境において、EBC自動車委員会メンバー各社は、今後もEVやPHEVなどの加速的な導入をはじめ、先進の安全・環境技術を搭載した新モデルの投入を続けていく。一方で日本は他のG7主要国に比べて、EV等の販売やその普及に必要なインフラの導入にはまだまだ課題がある。政府は充電インフラ整備促進に関する検討会を設置し、10月には「充電インフラ整備促進に向けた指針」を公表、これまでの2030年までの充電器設置目標を従来の15万基から30万口へと倍増した。EBCは今後、政府が掲げたインフラ整備方針が着実に実現してゆくことを期待している。

自動車関連税制に関しては、日本では2023年度税制において、現下の情勢に鑑み、エコカー減税・環境性能割については2023年末まで、EV等についても現行の優遇が今後3年間それぞれ据え置かれることとなった。

ただ、日本の電気自動車(EV)等の普及は現時点では低水準であり、これからカーボンニュートラル実現に貢献する電動車の普及を加速する必要がある中で、ユーザーの負担増につながる制度改正は避けるべきであり、EV、PHEV、FCVなど電動車の普及を加速させる為の税制改正の検討をお願いしたい。

また、日本の自動車ユーザーには、諸外国と比較して過重で複雑な税が課されていることから、自動車関係諸税の簡素化・ユーザー負担の 抜本的軽減をお願いしたい。

カーボンニュートラル実現に貢献する電動車の普及を加速する必要がある中で、政府による電動車への車両購入補助及び充電インフラへの支援を中長期的な視点で継続して頂くとともに、消費者の強い信頼を確保するために切れ目ない継続的な支援をお願いしたい。補助金要件については、少なくとも現行条件にて継続、または拡充をお願いしたい。

さらに、充電時間を短縮し、ユーザーにとってより利便性が高まるとの観点から、基礎充電・経路充電・目的地充電の量的、質的拡充、特に高出力化に向けた規制緩和等の施策といった充電環境の充実が必要と考えている。たとえば、現在日本には直流450Vと750Vの電圧の制約があり、欧米並みの高出力充電ができない状況にあり、欧州で開発された車の一部には、充電インフラからの低い電圧を車両の高電圧に合わせるための電圧変換器を日本市場用に開発して搭載しなければならない事例もある。経済産業省の充電インフラ整備促進に関する検討会において示された今後の指針(令和5年10月)が着実に実行され、電圧規制が緩和されることを期待している。

また、電動化の推進にとって必要不可欠な蓄電池のリユース・リサイクルに関して欧州電池規則が7月に発効しており、リサイクルやリユースなどに関する明確な規定がなされたところ。同規則など、諸外国の動向を引続き注視するとともに、関係当局や事業者と緊密に連携をとりながら、蓄電池のライフサイクルでのリサイクル、リユースの促進に適切に対応してゆく。

昨今、ますます重要となっている自動運転にも関連するコネクト技術についての制度に対応するため、自動車内外に実装される電気通信設備の動向、及びITS関係の社会実装に関する通信インフラの政府関係機関の動向把握に努めていく。加えて、ITS周波数に5.9GHz帯を確保することを日本政府が決めたところであるが、引き続き、日本政府に対して自動運転等先進安全技術に必要となる電波・通信領域における国際的な調和などを求めていきたい。

また、本年、7月、輸入新型車へも適用となったサイバー・セキュリティ(CS)やソフトウエア改変(SU)に係る規制に関し、課題となっていた既販車のSUに対する許可申請の前提条件となっていたCS/SUの管理システム適合証明に関し、海外OEMが海外当局から取得したCS/SU管理システム適合証明証を活用できるように当局がタイムリーに対応して頂いた点について評価している。自動運転を始めとする各種法令が「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」での議論に沿って国際規則に調和したものとなるよう引き続き要望する。

安全・基準調和の課題に関して、EBC 自動車委員会は、NTMの完全撤廃と「完全なIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)」の実現をこれまで最重要課題の一つとして継続活動を行ってきた。EBC自動車委員会は関係当事者と履行状況について引き続きレビューを継続し、国際基準・規則の調和を求めて、NTMの完全撤廃と「完全なIWVTA」の実現の要望を継続する。

さらに昨今、日本の自動車産業界においては整備人材の不足が喫緊の課題となっている。また電動⾞の更なる普及に伴う新しい技術に対応できるような⾃動⾞整備の⼈材育成も⽋かせない。自動車整備人材の課題克服の環境整備を政府等に対して要望していく。 

EBC自動車委員会は、真に公正で開かれた市場を実現するというEUと日本の目標を引き続き支持する。

主要な問題および提案

委員長

Mr. Kintaro Ueno
Chairman
Mercedes-Benz Japan G.K.
WBG Marive West 8F
2-6-1 Nakase, Mihama-ku, Chiba-city, Chiba 261-7108
Tel: +81-43-332-8888

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

2023年
日付時間場所
TBC