自動車

2021年の国内自動車市場を振り帰ると、国内新車販売台数(登録車および軽自動車)は444万8340台(前年比 3.3%減)であった。

2021年の欧州車を主とする外国ブランド4輪車の販売台数は、3月~8月まで6か月連続で前年実績を上回ったが、9月以降は世界的な半導体不足やコロナ禍による部品供給の停滞による自動車生産の減少が影響し、前年同月比マイナスが続いた。受注は順調にも関わらず、供給には至らなかったため新規登録台数の実績に大きな影響が出た結果、前年比1.4%増の259,752台となった。

一方、電動車などのラインナップを拡充した結果、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)の販売は急拡大し、特にEVは2021年通年として前年の約2.7倍となる8,610台と、着実に販売台数を伸ばした。また、日本メーカー車を含めた輸入車全体でも、前年比8.4%増の344,552台となった。

2022年上半期の外国ブランド車の販売台数は、ウクライナ情勢に起因する物流の混乱や半導体不足等の影響が続き、受注はあるものの納期が遅れ、14.7%減の116,408台となった。また、日本メーカー車を含めた輸入車全体でも、前年比17.6%減の153,954台となった。そうした中、外国車のEV等のラインナップは拡充し、2022年上半期においては、電気自動車は14ブランド62モデルが発表され、前年同期と比較して58.8%増の5,192台となった。

このような激変する市場環境において、EBC自動車委員会メンバー各社は、EVやPHEVなどの加速的な導入をはじめ、先進の安全・環境技術を搭載した新モデルの投入を続けていく。日本は他のG7主要国に比べて、まだまだEV等の販売やその普及に必要なインフラの導入が進んでいないという現状がある。そのような観点から、日本政府にはEV/PHEV等の普及のために車両・インフラへの税制や補助金制度の継続、拡充、一貫した安定的運用を求めていく。

自動車関連税制に関しては、日本では2021年度、2030年度乗用車燃費基準をベースとする大規模な税制改正が行われ、税制上の優遇を受けるためにはさらに燃費性能に優れた製品の導入が求められることになった。次世代自動車としてこれまで定義されてきたFCV/EV/PHEVはこれまで通り、最大限の免税、減税を受けている。来年度税制においてもFCV/EV/PHEVへの最大限の免税、減税を求めていく。

なお、自動車関連諸税については、他国に比べて複雑で、かつ、重課となっており、引き続き、更なるユーザー負担の軽減を求めてゆきたい。

また、諸外国の制度も参考にしながら、電動化をめぐる技術的な規制緩和の検討(充電電圧等にかかる課題も含む)やバッテリーリサイクルに関する諸課題の解決もますます重要になると認識している。EBC自動車委員会では、電気事業法に関連する国内特有の電圧制限等に対し、諸外国の動向も踏まえ、関係機関等と連携しながら課題解決に取り組むこととしている。また、電動化の推進にとって必要不可欠な蓄電池のリユース・リサイクルなど、諸外国の動向(欧州の電池規制案等)も念頭に、関係省庁と連携しながら、蓄電池のライフサイクルでのサステナビリティ向上に適切に対応してゆく。

さらに、昨今、ますます重要となっている自動運転にも関連するコネクト技術についての制度に対応するため、これまでの活動スコープを広げ、自動車内外に実装される電気通信設備の動向、及び自動運転に期待される社会実装に向けた通信インフラの動向の把握に努めていく。加えて、日本政府には必要に応じて制度の国際的な調和などを求めていきたい。さらに、自動運転車等の先進自動車の安全確保のためには、車載システムのサイバーセキュリティ(CS) / ソフトウエア・アップデート(SU)等の法規も重要である。EBC自動車委員会は、自動運転を始めとする各種法令が「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」での議論に沿って国際規則に調和したものとなるよう引き続き要望する。

安全・基準調和の課題に関して、EBC 自動車委員会は、NTMの完全撤廃と「完全なIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)」の実現をこれまで最重要課題の一つとして継続活動を行ってきた。2019年2月、日EU経済連携協定(EPA)が発効し、3年が経過したところであるが、EBC自動車委員会は関係当事者と履行状況についてレビューを継続してゆく。(更に、本協定合意の過程で積み残された日本の独自基準など非関税障壁(NTM)が未だ存在しており、依然として乗用車、商用車双方の欧州車輸入事業者にとってビジネス上のリスク・追加コスト要因となっている。)EBC 自動車委員会は、国際基準・規則の調和を求めて、NTMの完全撤廃と「完全なIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)」の実現の要望を継続する。

さらに昨今、日本の自動車産業界においては整備人材の不足が喫緊の課題となっている。また電動⾞の更なる普及に伴う新しい技術に対応できるような⾃動⾞整備の⼈材育成も⽋かせない。EBC自動車委員会では課題解決に向けた取り組みをはじめるとともに、自動車整備人材の課題克服の環境整備を政府等に対して要望して行く。 

EBC自動車委員会は、真に公正で開かれた市場を実現するというEUと日本の目標を引き続き支持する。

主要な問題および提案

委員長

Mr. Kintaro Ueno
President and CEO
Mercedes-Benz Japan Co., Ltd.
Shinagawa Seaside Park Tower
4-12-4 Higashi Shinagawa
Shinagawa-ku, Tokyo 140-0002
Tel: +81-3-6369-7200

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

2023年
日付時間場所
TBC