日本では、並行輸入品の販売が違法ではない。当然であるが、中古品の販売も禁止されていない、加えて、日本経済の動向に連動していると思われるが、中古品の需要が高まり流通量が爆発的に伸びている事実がある。更に、これは言及するまでもなく周知のことであるが、コロナ感染症のパンデミック以降、オンラインでの販売に注力しなくてはならない事は、ブランド権利者にとっても、それ以外の販売業者にとっても必然的なものになった。結果として、正規の代理店が販売する真正品、並行輸入品業者が販売する物品、更には「並行輸入品」と称する新品の模倣品、中古品、中古の模倣品、明確に模倣品だと開き直って販売されている物品、これらが混然一体となっている日本のオンライン・マーケットが世界中にさらされて、注目をされる状況となってきている。
対して、模倣品の出所については逆に単純で、ほかの多くの国々の場合と同様、日本で流通している模倣品の第一位の製造・輸出者は中国である。
2022年には、約88万点の模倣品が税関によって水際で差し止められた。税関がすべての輸入品を検査するのは不可能であることを考えると、この数字はたぶん、模倣品輸入量全体のほんの一部にすぎないと想定できる。
最近まで、日本には、模倣品でも構わないと考える消費者が少なからずいたのは事実である。従って、販売する場所を提供するサイト側も、対消費者に対するというより、対権利者との観点で模倣品対策を行っていた感も少なからずあったと思われる。しかし、徐々にではあるが、真正品を買いたいと思っている消費者を模倣品から回避させることが重要であるとの考えに移行してきているようである。消費者の模倣品に対する意識の変化のきっかけは、景気後退に伴う消費者のブランド品への狂乱の終焉、AIの出現と模倣品対策への利用の可能性の提示、他人の状況をみて自分の状況を正したいと思う感情(この場合、模倣品が多く流通する「中国」が「他人」にあたる)等々だと思われる。このような変化そのものは、歓迎すべきものだと捉えている。
もっとも、CtoCサイトの対策は、全般的には前進していない。
前述した意識の変化からか、良いか悪いかは別として、日本資本が運営する大手CtoCサイトのなかには、模倣品対策を積極的に行っていることを消費者へのアピールポイントにしてくるところも目にするようになってきている。AIとか画像判別システムを活用すると一般受けをするアピールをしているところが特にめだつが、これらの技術による判別もしくは排除能力は不十分であり、「AI」という言葉だけが一人歩きしていることは周知の事実である(勿論、なかには中古品取扱業者や業界団体と提携し、人による判別を進めているサイトもある)。実行力のある対策は、アピールをすることに不向きな事に多い、出品者の本人確認の強化や購入者のクレームの収集・分析、権利者からの削除依頼から得られる侵害情報の活用、悪質な利用者のブラックリスト化等の目新しさのない初歩的な対策の見直しもしくは強化がまず実施されるべきものと考えている。その上での「AI」の開発・導入であるならば否定的に捉えられることはなくなると思われる。
BtoCサイトに目を向けると、日本資本の大手BtoCサイトは、以前からの通り模倣品対策に積極的である。例えば、運営するショッピングサイトの「浄化」するために、掲載された商品が例えばとりわけ安い価格であることや消費者から寄せられた情報によって模倣品であると疑われる場合、関係ブランドと協力して、その商品を試験購入して、本物かどうかを確認することもおこなっている。商品が模倣品と判明した場合には、掲載した業者を退店させるということも行っている。
一方、海外資本のBtoCサイトは、依然として改善が認められない。アカウントの利用停止措置が適正におこなわれていないことやロボット検索による排除が重要視され人力による自主パトロールの実施が手薄になっている等の問題があると認識している。
日本では、模倣品を排除するための枠組みを設ける協調的取り組みが各方面によって行われている。そうしたアプローチのいくつかは、欧州や米国で適用されているものより先進的である。特に、大手BtoC及びCtoCサイトと権利者間に構築されている情報交換・協力体制は緊密であり特筆に値する。又、2022年10月から施行された改正商標法は、海外から日本国内に向けて模倣品を販売する行為がそのものが違法であるとされ、インターネットによるボーダレスな社会に対応し模倣品の流通を効率的に防ごうとするものであり、対インターネット対策とし世界的に目新しいものである。もっとも、当然のことであるが、日本ではなんらの問題もないとのことにはならない。以下に主要な問題と提案を記載する。
主要な問題および提案
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作成日:
「商標削除した物品」の輸入許可について
進捗:
進展なし -
作成日:
「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」
進捗:
進展なし -
作成日:
「個人使用目的」の模倣品輸入の禁止の法制化
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作成日:
日本および海外資本のサイトから模倣品を排除するための対策の継続及び強化
進捗:
進展なし
委員長
Mr. Laurent Dubois
Representative, Union des Fabricants
SK Bldg. 3F.
1-5-5 Hirakawacho
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委員会ミーティングスケジュール
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2025年 | - | - |