知的財産権

日本では、ブランド品市場が繁栄を続ける一方で、模倣品という厄介な対立商品も同様に繁栄し続けている。オンラインで販売されるブランド商品の流通量が増えるにつれ、日本のオンライン・マーケットは、正規販売店による正規品、並行輸入品業者による商品、「並行輸入品」と偽った新品の模倣品、本物の中古品、模倣中古品、さらには公然と販売されている模倣品など、さまざまな商品カテゴリーを含む複雑な市場へと発展している。

SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)が模倣品の販売宣伝もしくは販売そのものに利用されることも他の国々と同様に横行している。

日本以外の国だと、オンラインが模倣品対策の主戦場になるはずであるが、日本は、「並行輸入品」(日本では認められている)及び「中古品」市場での問題の比重が多く、これが模倣品流通の特色であるとも言える。対して、模倣品の出所については、ほかの多くの国々の場合と同様で単純であり、日本で流通している模倣品の第一位の製造・輸出者は中国であり、ついでベトナムという状況にある。2023年には、約100万点の模倣品が税関によって水際で差し止められた。税関がすべての輸入品を検査するのは不可能であることを考えると、この数字はたぶん、模倣品輸入量全体のほんの一部にすぎないと想定できる。

最近まで、日本には、模倣品でも構わないと考える消費者が少なからずいたのは事実である。従って、販売する場所を提供するサイト側も、対消費者に対するというより、対権利者との観点で模倣品対策を行っていた感も強かったと思われる。しかし、模倣品は買いたくなく真正品を買いたいと考える消費者が増大するにつれて、サイト側もこれに合わせたサービスを展開するようになってきている。消費者の模倣品に対する意識の変化のきっかけには、いくつかの要因が考えられる。

    • 景気後退に伴う消費者のブランド品への熱狂の終息
    • AIの出現と模倣品対策への利用の可能性の提示、
    • 他人の状況をみて自分の状況を正したいと思う感情(この場合、模倣品が多く流通する「中国」が「他人」にあたる)等々だと思われる。

最後二点の変化は、歓迎すべきものだと捉えている。

もっとも、CtoCサイトの対策は、実質的には余り前進していない。

中古品取扱業者や業界団体と提携し人による判別を進めているサイトもあるが、そもそも人力では時間も費用もかかりすぎることもあり、このようなサービスを利用する消費者の数は少ない。AIとか画像判別システムを活用すると一般受けをするアピールをしているサイトもあるが、これらの技術による判別もしくは排除能力は不十分であり、「AI」という言葉だけが一人歩きしていることは周知の事実である。これからの技術の開発・革新に期待するところは大であるものの、出品者の本人確認の強化や購入者のクレームの収集・分析、権利者からの削除依頼から得られる侵害情報の活用、悪質な利用者のブラックリスト化等の従前より行われている対策の見直しもしくは強化も地道に行うべきであると考えている。

BtoCサイトに目を向けると、日本資本の大手BtoCサイトは、以前からの通り模倣品対策に積極的である。

例えば、運営するショッピングサイトの「浄化」するために、掲載された商品が例えばとりわけ安い価格であることや消費者から寄せられた情報によって模倣品であると疑われる場合、関係ブランドと協力して、その商品を試験購入して、本物かどうかを確認することもおこなっている。商品が模倣品と判明した場合には、掲載した業者を退店させるということも行っている。一方、海外資本のBtoCサイトは、依然として改善が認められない。アカウントの利用停止措置が適正におこなわれていないことやロボット検索による排除が重要視され人力による自主パトロールの実施が手薄になっている等の問題があると認識している。

日本では、模倣品を排除するための枠組みを設ける協調的取り組みが各方面によって行われている。そうしたアプローチのいくつかは、欧州や米国で適用されているものより先進的である。特に、大手BtoC及びCtoCサイトと権利者間に構築されている情報交換・協力体制は緊密であり特筆に値する評価されるべきことである。逆に日本が立ち遅れており、改善すべきということも、もちろん存在する。以下に主要な問題と提案を記載する。

主要な問題および提案

委員長

Mr. Laurent Dubois
Representative, Union des Fabricants
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2025年--