宇宙

日本の宇宙政策の目的は、1. 宇宙における安全保障の確保、2. 災害・環境問題の緩和への支援、3. 宇宙探査の拡大、4. 宇宙産業の利用による経済成長とイノベーションの促進である。宇宙基本計画は、日本の宇宙産業と技術によって達成された実績を高く評価した一方、日本が世界の進展に遅れをとっていることも指摘した。2023年6月、東京は「宇宙安全保障イニシアティブ」を発表し、宇宙を「外交、防衛、経済、情報、さらにはこれらの国家権力を支える科学技術革新における、国家権力をめぐる地政学的競争の主要な舞台である」と位置づけた。また、同時に、事業成長分野としての民間イノベーションのための予算支援に関する新たな宇宙基本計画を公表した。

宇宙の安全保障、宇宙産業の市場成長、そして絶え間ない宇宙利用の重要性は、政府主導の宇宙開発から民間主導の新時代へと移行している。政府は、小型衛星や小型打上げ機に携わるスタートアップ企業を支援し、それが既存インフラの下流に位置する応用分野を活性化することを奨励する政策を展開している。これらのベンチャー企業の多くは、多数の外国人従業員を雇い、最初からプログラムに国際的な活動を盛り込んでいる。EBCは、日本政府が日本と欧州のベンチャー企業の協力と統合を積極的に推進することを望む。

2021年3月、スカパー JSATとエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社は、Superbird-9通信衛星の調達契約に調印した。日本の衛星運営会社が欧州衛星を選定したのはこれが初めてである。EBCは、この発展を歓迎し、活発な日欧産業交流が深まることを期待している。

また、政府衛星については、1990年以降、事業衛星や実用衛星が国際入札により調達されてきた。現在までに、運輸多目的衛星(MTSAT)および気象衛星シリーズが含まれている。外国企業による直接応札は法的に可能であるが、入札書類は日本語で記載せねばならず、他にも、コミュニケーションや発表の大部分は日本語で行われるなど様々な法的かつ実務的な「見えない障壁」が存在する。

打上げ機については、国際的な開発競争が激化しており、低コスト化の需要が持続不可能なレベルに達している。現在日本はH3を、欧州はアリアン6の開発を行っている。日本はH3を、欧州はアリアン6の開発を行っている。H3の最初のフライトは2023年3月に失敗したが、さらに4つの打ち上げで成功した。一方で、アリアン6の初の試験飛行は2024年7月に成功裏に行われ、その後2025年3月には完璧な初の商業打ち上げが実施された。その商業化はすでに大成功を収めている。

日本の技術の遅れと将来の競争力の喪失を懸念して、専門家は次世代の「革新的未来宇宙輸送システム」に向けた概念と戦略の研究を始めた。文部科学省が、その実現に向けたロードマップを検討するために設置した委員会では、政府の任務と月と火星への民間ミッションは、H3の発展型によってい支えられる。より長期的なテーマとして、数百億ユーロの市場があると推定される2地点をつなぐ(東京・パリ間のように)の高速商業旅行のために完全再利用できる宇宙機の開発が提案されている。これらの開発には、国際協調の重要性が言及されている。画期的な将来の宇宙交通体系の再利用可能性については、フランスの宇宙機関CNES (国立宇宙研究センター)、ドイツの航空宇宙センター(DLR)、JAXAが縮小スケールでの再利用可能性実証機であるカルリストについて取り組んでいる。

小型衛星やコンステレーションに関する打上げ活動は、予想以上にダイナミックである。しかし、個々の取り組みの将来の見通しが不透明であるだけでなく、衛星製造、打上げ、サービスを一つの企業に統合する垂直統合型を展開する企業もあり、これはアクセス可能な市場の拡大にはつながらない。H3とアリアン6の両方に改良版が必要であるため、これらに全面的に協力すれば、大幅なコスト削減とイノベーションの手段につながり、競争力の向上と国際貢献の拡大につながる。また、日本や欧州が独自の宇宙輸送システムを維持していくためにも、おそらく不可欠であろう。

主要な問題および提案

委員長

Mr. Nikolaus Boltze
Country Representative
thyssenkrupp Representative Office
2-3-1, Minatomirai
Nishi-ku, Yokohama 220-6011
Tel: +81-45-211-4653
Fax: +81-45-211-4609

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

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2025