COVID-19の大流行により、世の中、特に航空業界の現状は大きく変化している。オリンピックの非常に明るい見通しから、今回のコロナ禍により、全体的に最大90%の旅行需要が減少し、特定の地域では最大98%の旅行需要が減少した。航空会社は、コスト削減を迫られ、深刻なキャッシュフローの課題に直面している。その一方で、乗客・乗務員の健康を守る為に新たな安全対策を施さなくてはならない。多くの航空会社は、危機を乗り切るために、財政支援を政府に求めることになった。
現状を生き抜くためには、抜本的な対策が必要であり、日本政府をはじめ各国政府は全力を挙げて取り組まなければならない。具体的には、航空会社が一時的に利用できなくなった発着枠を失わないように、規制を変更・解釈し、旅客輸送から貨物輸送への転換を円滑に進め、羽田空港の貨物輸送環境を改善するとともに、航空会社と連携して、日本に到着する乗務員への対応について、良好かつ実践的な指針を策定することが考えられる。これらの施策は、速やかに提示され、実行されなければならない。EBCは、他の産業機関及び日本当局協力し、状況を最大限に引き出すことを約束している。
新たに導入されている到着旅客への空港での健康チェックは重要ではあるものの、到着してから入国するまでの所要時間が大幅に増えるという事態を引き起こしている。 また、航空会社は、この到着時の空港での検査体制に協力する為、到着便の乗客数の制限をしている。このような制約が続くと、フライトの経済性が低下し、輸送能力の復活を遅らせる可能性がある。この事態が続けば、海外からの旅客が日本へ戻ってくることを遅らせる可能性もあるだろう。
コロナウィルスによる影響とは別に、EBCは、国土交通省(国土交通省)と法務省が、日本への旅客輸送の増加を促進するために過去に実施した様々な施策を認識し評価している。羽田空港の発着枠が欧州航空会社にも割り当てられ、空港の入国審査の係員の数も増加された。また、航空業界の話に耳を傾け、緊密に協力している成田空港の魅力的なアプローチにも感謝する。EBCは、これらがすべての空港の青写真になることを期待している。
空港発着料金、とりわけ東京での料金は、アジア地域の競合空港に比べて依然として高く、航空会社が事業拡大を検討するときの課題ともなっている。最近、羽田空港ではより高い手数料が導入された。IATA(国際航空運送協会)と成田空港との間で先頃締結された協定は、料金据え置きとする点で満足の行くものだが、国際的な基準に沿っていない駐機料の構造など、依然として異例の料金がある。EBCは、空港関連手数料の増加を一切控えるよう要請している。さらに、保安関連の改善費については、引き続き空港運営会社及び政府によって負担される必要があると考察する。
EBCは、国際観光旅客税(出国税)の導入については依然懸念している。徴収手続は航空会社に負担を課す。しかも、結果としてもたらされる資金の使途に関して透明性がない。EBCは、交通インフラに資するような資金の使途を支持する。さらに、日本の当局によって設定された現行のデータ要件とデータの提供方法は不明瞭であり、欧州航空会社は厳格なEUデータ保護法により、この要求データを提供する立場にない可能性がある。これは緊急に見直す必要がある。
欧州の航空会社は、環境への影響を低減するため、新しい低燃費・低騒音の航空機の導入や、より効率的な航行技術、バイオ燃料試験を含む、多数の対策を講じてきた。したがってEBCは、燃料消費削減とコスト効率向上のため羽田での新しい発着パターンの開始を全面的に支持する。また一方で、EBCは、燃料消費だけでなく、地元住民にとっての騒音も不必要に増大させる成田での早めの「着陸時ギアダウン」方針の廃止を提案する。
日本には海外からのインバウンドの旅行客を誘致し、ビジネス旅客を増やす可能性が充分にあると証明された事は賞賛に値する。コロナウィルスの状況が改善した後、日本がコロナウィルス以前の状態に戻らない理由はないと考えている。しかし、それを可能にするためには、日本政府が航空業界と一体となって取り組むことが大切である。
主要な問題および提案
委員長
Mr. Lawrence Ryan
Senior Director, Sales Japan & Korea
Lufthansa Group Airlines
3-1-13 Shibakoen
Minato-ku, Tokyo 105-0011
Tel: +81-3-5402-5201
委員会ミーティングスケジュール
会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。
日付 | 時間 | 場所 |
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2025年 |