自動車

本報告では、日本の自動車市場全般の振返るとともにEBC自動車委員会が課題と考える(1)電動化/グリーントランスフォーメーション(GX)、(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)(自動運転等を含む。)、(3)国際的な車両型式相互承認(IWVTA)の導入、(4)自動車リサイクル、(5)税制改正についてその概要と具体的な提案を述べる。

<日本の自動車市場全般>
2023年の国内自動車市場を振り帰ると、国内新車販売台数(登録車および軽自動車)は477万9086台(前年比 13.8%増)、登録車全体の販売も増加し、約303万台となった。2023年の欧州車を主とする外国ブランド4輪車の販売台数は、前年比2.5%増の248,329台となり、2021年以来2年ぶりに前年を上回った。特に、輸入EVの販売台数は22,890台となり、初めて2 万台を超え、2022年の輸入EVの販売に比較して、1.6倍となり、2019年以降5年連続で過去最高の台数を更新した。
2024年上半期の国内自動車販売市場については、登録台数は約140万台と2年ぶりに上半期として前年を下回った。外国ブランド車の販売台数も、前年と比べて7.2%減の113,887台 となった。

(1)電動化/グリーントランスフォーメーション(GX)
輸入EVについては引き続き好調で、10,785 台となり、前年同期と比べて16.7% 増となった。この背景として要望していた継続的で切れ目ない電動車への補助金政策も大きく寄与しており、改めて感謝の意をここに表したい。このような激変する市場環境において、EBC自動車委員会メンバー各社は、今後もEVやPHEVなどの加速的な導入をはじめ、先進の安全・環境技術を搭載した新モデルの投入を続けていく。一方で日本は他のG7主要国に比べて、EV等の販売やその普及に必要なインフラの導入には進展は見られるがまだ課題がある。政府は昨年、充電インフラ整備促進に関する検討会を設置し、同10月には「充電インフラ整備促進に向けた指針」を公表、これまでの2030年までの充電器設置目標を従来の15万基から30万口へと倍増した。EBCは今後、政府が掲げたインフラ整備方針が着実に実現してゆくことを期待している。
カーボンニュートラル実現に貢献する電動車の普及を加速する必要がある中で、政府による電動車への車両購入補助支援について引続き切れ目ない継続的な支援をお願いするとともに補助金対象要件の見直しにあたっては幅広く柔軟な検討をお願いしたい。 また、カーボンニュートラルの実現にあたっては、電動乗用車だけでなく、バスやトラックなどの商用車の電動化や水素の活用も重要である 。
なお、本年10月、電気技術基準に関する制度改正が行われ、欧米並みの高電圧高出力(DC1,000V/350kW)充電が可能になったことに対して、当局に感謝を申し上げる。今後は、特に都市部における基礎充電がまだ十分とは言えないことから、集合住宅を含む基礎充電設備とそれを補うための住宅地周辺の公共充電の充実、公道への充電器の設置促進のほか、経路充電としての高速道路等における充電渋滞等解消等のための一時退出の仕組み構築(例 インターチェンジ付近の高速道路外の充電器の積極的活用)、タワーパーキングや機械式駐車場等への充電インフラ整備などを行っていくことが重要である。なお、公道への充電器設置は今後、地方の展開されることを期待する。
また、電動化の推進にとって必要不可欠な蓄電池のリユース・リサイクルに関して欧州電池規則が7月に発効しており、リサイクルやリユースなどに関する明確な規定がなされたところ。同規則など、諸外国の動向を引続き注視するとともに、関係当局や事業者と緊密に連携をとりながら、蓄電池のライフサイクルでのリサイクル、リユースの促進に適切に対応してゆく。

(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)(自動運転等を含む。)
自動運転をはじめとする無線・技術コネクト関連のテーマについて日本政府は2023年度よりモビリティDX検討会を立ち上げ、EBC自動車委員会は継続してその内容の注視を行ってきた。今年、5月同検討会ではモビリティDX戦略を公表し、自動車・モビリティにおいて今後GXに並び、DXを競争軸として設定した。特に2030~2035年年にむけて、Software Defined Vehicle(SDV)を競争領域として捉えて、その推進を行ってゆく、としている。EBC自動車委員会は、自動運転技術等の進化を受け、関連の情報収集を行ってゆく。
また、これまで要望してきた無線・通信技術の国際調和やオーバー・ザ・エアー(OTA)を活用したソフトウェアアップデートについて時代に即した制度改正などを引続き求めてゆく。

(3)国際的な車両型式相互承認(IWVTA)の導入
安全・基準調和の課題に関して、EBC 自動車委員会は、NTMの完全撤廃と「完全なIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)」の実現をこれまで最重要課題の一つとして継続活動を行ってきた。EBC自動車委員会は関係当事者と履行状況についてレビューを継続し、車両に関する基準の国際調和のさらなる推進と「完全なIWVTA」の実現の要望を継続する。

(4)自動車リサイクル
自動車リサイクルに関する大きな動きとして欧州ではELV規則案が昨年7月に示されたところ。日本でもサーキュラーエコノミーの推進のテーマにおいて再生プラスチックの利用に関する議論が行われている。EBC自動車委員会は引続き、日本における再生プラスチックの制度化の行方について注視してゆく。

(5)税制改正
最後に税制についてはカーボンニュートラルに貢献する次世代自動車普及を促進するため、ユーザーの負担増につながる制度改正は避け、これらの自動車の普及を加速するための税制改正の検討と、これまでも述べてきた通り、自動車関係諸税の簡素化・ユーザー負担の抜本的軽減をお願いしたい。

EBC自動車委員会は、真に公正で開かれた市場を実現するというEUと日本の目標を引き続き支持する。

主要な問題および提案

委員長

Mr. Go Goeltinger
President and CEO
Mercedes-Benz Japan G.K.
WBG Marive West 8F
2-6-1 Nakase, Mihama-ku, Chiba-city, Chiba 261-7108
Tel: +81-43-332-8888

委員会ミーティングスケジュール

会議の開催場所については、 EBC ( ebc@ebc-jp.com) にお問い合わせください。

日付時間場所
2025年